60円45銭

創作のネタとかいろいろ

白翼の鳥、虚の卵 下


 ぴとん、ぴとん、ざぁざぁざぁ。
 地面に乱暴に当たり散らすような水の音。土砂降りの雨が降っていた。

 ぴとん、ぴとん、ぺちゃぺちゃぺちゃ。
 私は靴も靴下も履かない素足で、濡れてぬかるんだ斜面を歩いている。

拍手[0回]

白翼の鳥、虚の卵 中


 ――ぴとんぴとん、ばら、ばら、ばら。
 水の音、雨の音。

 盥をひっくり返したような激しい雨音に私は目を覚ました。……なんて騒々しい音。私はイライラしながらも眠りから覚醒するために目をこすろうとして、そこで気づいた。

拍手[0回]

白翼の鳥、虚の卵 上


 暗い夜にざざん、ざざん。
 海鳴りの音がざざん、ざざん。

 私は真っ黒な海を窓から見ている。灯台の明るい灯火が遠くに見える。海が鳴く。境目を無くした水平線の向こうに船の明かりが見えている。
 いつまで起きているのと母が言う。
 ――「だってお母さん、海が何か言っているのよ」。幼い私が言う。
 だけど母は窓を閉じ、厚手のカーテンを引いて行ってしまう。

拍手[0回]

『黒蛇の呪、雪の垣根』乙

巫女の子が持ってきたスイカを頬張る。一口ごとにさっぱりした甘味と水分が舌と喉から伝わってきて、お風呂入ったときのお爺ちゃんじゃないけど、なんだかとっても生き返る心地だ。

 件の巫女さんはスイカを持ってきたっきりまた引っ込んでしまったから、縁側にはあたしとガッキだけ。炎天下の境内には誰も見当たらない。神社をぐるりと囲む鎮守の森からは、ミンミン蝉の大合唱。空は青く高く、白いもくもくの入道雲が、木々の端から顔を出している。

拍手[0回]

『黒蛇の呪、雪の垣根』甲

 あたしがもう一度嶽木に会ったのは、次の土曜日の夕方のことだった。

拍手[0回]

プロフィール

あおむし赤果
お見せっ!お前の末脚を!!

カレンダー

03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30

最新CM

[03/03 青虫ファン6045号]
[02/27 青虫ファン6045号]
[02/27 青虫ファン6045号]
[11/14 青虫ファン6045号]
[11/14 青虫ファン6045号]

最新TB

ブログ内検索

クレジット