「お知らせ」の件関連雑記

※なんのこと？て方はまず「この件」から読んでください。

いっや……怖かったぁ！
昨今、「ペイントソフトのユーザー作成アセットに第三者の著作物をトレパクしたものが混入していた」とか、「トレス可のポーズ集として売られていたものに他人の著作物をトレースして作られたものが混ざっていた」とか不穏な話を聞きますが、有償無償問わず「作ったので使っていいよ」と配布されたものにこういうの入ってると笑えないですね…！

これが誰が作っても同じようにならざるを得ない伝統模様とかだったら話は違ったんでしょうけど、今回のは素人の私にも大元の画像がはっきり突き止められてしまったぐらい（結構な加工がされてたのですが今の画像検索の精度ってすごいですね）、「よくあるイメージ」ではなくて、「明らかに世界に一つだけの元ネタ」が存在する画像なんです。

わかっちゃったので「とにかくどうにかしないと」って思うのと、「知らなかったとはいえこれ著作権侵害……犯罪者……うう…」ってなってずっとお腹痛かったです。
体重一気に2kgか3kg減りました。

いい大人がお腹痛くしてる場合じゃないでしょしっかりしなさいって感じですが、いい大人でもこんなの嫌ですよ。
誰だって怒られたくないし、だから偉い人の間でも妙な不正が横行したり

なんでもないです。

とにかく私は画像の一次権利者を捜すべく、最初の検索で引っかかった画像データを元にして、画像検索を繰り返しました。最初はどこかの団体のpdfファイルの一部だとか、企業サイトやよくわからないブログのイメージ画像くらいしか引っかからなかったんですけれど、少しでも解像度が高い画像が手に入れば更にそれを元にして……って具合です。

例のテクスチャがのExifが2005年（古いね？）だったのでそれより前に絞れば楽勝かと思ったのですが、これがなかなか出てこないこと…！

というか「自分こそが権利者だよ～」って主張してる、それぞれ明らかに違う系列の海外系画像ストックサイトがいや出るわ出るわ。
データ転売じゃん！もう海外系の画像ストックサイトだいぶ何も信じられないぞ…！元から怪しいと思ってたけど！

それで何回か諦めそうになったし、いよいよ文化庁長官の裁定でも受けるべきかと考え始めたとき、ある画像ストックサイトに「ブランド：imagenavi」って書かれていて（※そのサイトはimagenaviではない）。
調べたら、かつて画像素材集をオフライン（CD-ROM）販売していた会社の情報や、現在権利を引き継いで素材画像を販売しているサイトの情報が出てきたんです。

とはいえ「もう画像ストックサイトは懲り懲りだよ～」って思わなくもなかったのですが、決め手になったのは画像の出典時期です。
だいたい2010年ごろから権利を主張してるサイトが多い中で、imagenaviだけが具体的な撮影時期を「1997年」と挙げていたんです。しかも日付もかいてある！
これは例の「テクスチャ」のExif情報とも矛盾しません。

ちょっと脱線気味の補足なんですが、90年代末から00年代初頭は一家に一台以上のパソコンも、インターネット接続も、携帯電話の所持さえも「あたりまえ」ではない時代でした。

思い出してみれば、うちの親も仕事の掲示物を作るためにカタログ雑誌つきの素材集CD-ROMをいくつか買っていた覚えがありますし、許可を取って色々な作者のフリーゲームを収録した雑誌なんかもあったんです（思えば私とフリーゲームとの出会いもオフライン媒体でした。なつかしいなあ）。

インターネット老人会特有の自語りが入ってしまいましたが、つまり元々はオフラインで販売されていた素材が後からインターネットにアップロードされたために時期指定検索にひっかからなかったというわけです。なるほどなぁ。

恐らく「テクスチャ」の制作者は自分の手持ちの素材データをループ化加工したのでしょう。
いや。誰だか知らない君自身は素材買ってるから多少は加工してもいいのかもしれない。
でもそれを不特定多数の第三者に撒かないでほしい。せめて画像の一次ソース書いておいてくれよたのむよ…。

なにはともあれ権利者発見……、
とはいえ黙って購入して終了というわけにはいかないと思ったので、夜更け～明け方という非常識な時間にも関わらず謝罪文を書きました。

焦っておかしくなる日本語をChatGPTで添削しつつ（※夜中過ぎて誰にも頼れない）、知らないとはいえ申し訳ないことをしたこと、ゲームに使ってしまっていること、差し替え作業をしていること、ゲーム実況やスクショ付きレビューをしてくださったすべての方々に動画・画像を消させることは難しい（気持ち的にも）なので、私が身銭を切るのでなんとか…！という虫のよすぎる提案などなど、混乱しつつ色々と書きました。

最後のは本当に図々しいし謝りながら何提案してんだよ反省してんのかお前って、冷静になった今はそう思うんですけれど、「この作品いいな」と思ってくれた人に累が及ぶことだけはどうか…！という一心でした。そんなお金持ちじゃないけれど、通常の料金の５倍でも１０倍でもお支払いするつもりでいました。

だって実況動画だって配信の記録だって、その人やリスナーの思い出ですよ。
それをこちらの不手際のために「消せ」というのは残酷すぎる。スクショ入り感想・レビューだってそうです。
言えるわけないです。なかったことにしろだなんて。

……そうも思うのですけれど、このメールを送ることで
「わかりました。あなたを訴えます」
という展開になる恐怖は当然ありました。

めちゃめちゃ逃げたいし、怒られたくもない、訴えられたくもないです。
「責任逃れする大人はダセぇな」って、はたから見てる分にはいくらでも言えますよ。言ったことあるし。
だけれどいざ自分の番になったら怖いんです。

大丈夫な素材と称して二次配布した人を正直恨みました。何度も。

でも、だからって気持ち悪い状態で居続けるのはもっと嫌でした。

気付いていながらサイレント修正でなかったことにしていいのか？
オリジナル画像の権利者に対してあまりにもリスペクトがないではないか？
仮にも創作者がそんなことしていいのか？？
自分の創ったものにはあれこれガイドライン決めてるのに？？？

…謝らなければ。
どんな経緯にしろ、素材に関する調査を怠り使ったのは自分なのだから。
責任を果たさなければ。

メールを送信した直後から、「これから切腹する」くらいの気持ちでいました。
冗談抜きに例のワザップの「貴方は犯罪者です！刑務所にぶち込まれる楽しみにしておいて下さい！」みたいな気持ちが自分に向けてぐるぐる回ってました。

当然ご飯はのどを通らないし、寝てないのに心臓がバクバクして眠れないです。

それで、気が付けば「著作権　裁判　賠償　いくら」みたいなのをスマホで無限に検索し続けてるんです。相手から反応がない限りそんなこと調べたって仕方ないのに。
責任を取るって決めたのに、この期に及んでまだわが身がかわいいのか。ちくしょう。

覚悟を決めたはずなのに、「終わったなー」とか、SNSで袋叩きにされるだろうなとか、自分で自分の作品をダメにしちゃった…あは…あは…とか、信じてゲームしてくれた人たちに謝らなくちゃとか、それよりもオリジナル画像の権利者の権利を侵害してしまったとか、色々浮かびます。
「ボヘミアン・ラプソディ（楽曲）」でフレディがピアノ弾き始めたあたりの歌詞みたいな気持ちがずっと続くんです。
ママ……あたいやっちまったよ……

めちゃめちゃヘラって黒紅梅と真澄さんに辞世の句みたいな長文を送り付けたりしてました。
迷惑な奴だな。

それでも然るべきお叱りをうけなければならないと返答を待ち続けていたところ、以下のような回答が届きました。

「この画像をゲームにご使用になったとのことですが、
　下記より必要なサイズの画像データを購入いただき、
　この画像のユーザーとなっていただければ、問題ございません。
　https://imagenavi.jp/search/detail.asp?id=99033056」
（原文ママ）

リアルで泣きました。画面を拝みました。
必要なサイズだけでいいとのことでしたが、もちろん全サイズ買いました。禊です。
ちなみに全サイズ買っても海外の妙なサイトが売っていた値段より全然安かったです。
というかブランド名書いてるのに正式なライセンス購入ルートじゃないの、なに。

今現在は差替え済みのゲームデータが配信されているのですが、以前のバージョンをお持ちの方・画像、動画で発信をした方に何かしていただくことはありませんのでご安心ください…！

そしてイメージナビ株式会社様、ご迷惑をおかけしたにも関わらず寛容な措置をいただきまことにありがとうございました！

感謝と共に微力ながらお詫びの宣伝を。
かつて「データクラフト社」よりCD-ROMの形で販売されていた画像素材「素材辞典」シリーズの画像は、現在は「imagenavi」にてダウンロード販売されているほか、こちらでサブスクサービスもあるようです！
もしかしたら「弊社で代々使われている謎の画像ってこれだったのか」とか、「昔親が使っていた年賀状の画像素材これだったのか」という発見があるかもしれません。
※使用許諾契約書には必ず目を通してください


最後に。


誰でも手に入れられる素材だとしても、他所の素材から素材を作って二次配布するのはやめようね！

そして過去のバージョンで私がテクスチャ使ってる部分から素材に起こすのもやめてね！
差替版の代替画像に至っては私がニュアンスだけ拾って描いたやつだし素材配布してないからね！！
あとデータ転売ダメ絶対！

PS:このあと自分の撮った自然物の写真の中から自分用テクスチャを作りはじめました。
玄関の土汚れとか、猫の背中とか、ラーメンスープに浮いてた油とか使って。