悪戯好きの小さな怪物たちは【魔法使いの少女】に従えられて愛らしい姿になり、やがて【少女】の成長と共に人間の女の子の姿になりました。
けれど姿は人間になれても、決して"人間"にはなれません。
怪物を、人ならざる者たちをこの世界から追い払おうとする人たちが、彼女たちを、そして彼女たちのご主人様を狙います。
ずっと平穏に暮らすことはできません。
けれど、それでも。みんな平穏に暮らしたかったのです。
ご主人様と、そして姉妹のような仲間たちと。
ずっと。一緒に。
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廻話まで終わったのでざっくり黒梅魔鬼サイドの未来の話の欠片。
使い魔らのその後。
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"魔鬼ちゃん"は、大好きな人と生きることの代償として心がバラバラになってしまった。
よその人には悟られないように振る舞ってるけど、"あのひと"の記憶と人格が混ざっているから言動はとても不安定だし、いつもの笑顔の裏で本当はとっても苦しいって知ってる。
だからボクらで支えてあげなくちゃ。……烏貝さまだけに任せておけない。
ボクらは魔鬼ちゃんの使い魔。魔鬼ちゃんの力を受けて魔鬼ちゃんに近い姿を得たボクらには、魔鬼ちゃんが口に出せなくなった気持ちがちょっとだけわかる。わかるから、力になりたいんだ。
本当は魔鬼ちゃんの魔法で操られてるだけなのかもしれない。従うように刷り込まれているだけなのかもしれない。
けどそれでもいい。ボクたちはみんな、魔鬼ちゃんのことが大好きだから。
――『断絶章/使い魔4番の決意』
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