「彼女」とはじめて顔を合わせたのは、小学校に上がるよりももっと前のことだ。
元々家同士がそう遠くなかったし、親の「仕事」の関係もあって、連れられて行った先で会ったのが最初だった。
その頃の「彼女」まだ普通の子といった印象で、いつも一緒に居る、少し引っ込み思案な「彼女のはとこ」のことをよく気に掛けているな、と思っていた。
でも本当のところは違った。
彼女の行動に妙な違和感を覚え始めたのは小学生の頃で、その疑惑が確信になったのは中学生になってから、それも起ってはいけないことが起こってしまってからだった。
いつからそうなのか、それとも初めからそうだったのか。
「彼女」は自分の「お気に入り」を自分の意のままの状態に置いて置こうとする思想を持っていて、そのためならどんな恐ろしい考えも実行してしまえる人間だったのだ。
「彼女のはとこ」も、実の妹と弟も、みんな「彼女」の人形だった。
今になって思えば。
それに気付いたあの事件のときに、私は「彼女」を、首接丹夜をどうにかしておくべきだったんだと思う。
……そうすれば、あんなことにはならなかったはずなのだ。
私は。
「そのことはもう気にしなくていい」と言い続けた私の友人が、最期の瞬間に思うように歩けなかったことを悔いている。
それは私のせいだ。
そして。
あの子の足を不自由にして。
あの子が死ぬ遠因を作って。
それでもどこかでのうのうと生き続けている「彼女」のことを未だ、いや。きっと一生許さないだろう。
だから一生かけても「彼女」を捜し、「彼女」を殺す。
「そんなことはやめな」
友人が生きていれば必ずそう言うだろうけれど。それでも。どうしても。地獄に落ちても。
この悔いを消すために、私はそれを決めたのだ。
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