60円45銭

創作のネタとかいろいろ

小品集2

深夜にTwitterで書き散らしたものまとめ。
♯1:ろうごく
「君達は未だ自覚すらしていないと思うけれども、しらないと言うことは恐ろしいことだよ。
知らないと言うのはこの限りある途方もない世界を識る道具を持っていないのに等しいことなんだ。
俺の言いたいことがわかるかい?

世界を識らないということは、
ただでさえ狭いこの世界の、更に限られた一部分でしか生きていくことが出来ない、ということだよ。
識らないし、知らないから、今居るところの一歩外に出て行くことができない。
君の冒険は小さな家と申し訳程度の庭だけで終わってしまうのさ。

自覚したかい?認識したかい?

しらないと言うことは、恐ろしいことなんだよ」

彼はポケットから何か取り出すと、何の予告もなく窓の外に放り投げた。

「俺が投げ捨てたものを、君はしらない。
けれど、君が望むなら。君はそれをしることが出来るだろうさ」

そう言って彼は、私の足から枷を外した。

「さあ行きな。君の冒険はまだまだはじまったばかりだ」

鎖が落ち、ドアが開く。
吹き込んだ風が新鮮な外の空気を招き入れ、新緑の匂いとともに差し込んだ眩い太陽の光が包み込む。

「おめでとう。君は今世界をしった」


♯2:かだん
「たとえば、この金鎚で思い切り君を打ちつけたなら、君はこのべこべこの金属板みたいになると思う?」
「そんな馬鹿な話があるものか。人間だったら平らになるより先に死んでしまうだろう」
「だろうね」
彼女は照れくさそうに笑いながら、わたしに如雨露で水をかけた。


♯3:かのじょ
「僕の彼女はとっても向上心が高いんだ。
僕が彼女のいいところを誉めると、次に会う時には更に磨きをかけているんだ。
先週彼女の新しい髪型を軽い感じで似合ってるよって誉めたら、
今週は行きつけの美容室で首ごと落としてきちゃったんだ。
彼女のそういうちょっと変なところも、また可愛いんだ」


♯4:おしまいだ
「HAHA、知ってるかいマイク」
「なんだいトム」
「なんでも、今生きている人間は今までに死んだ人間より多いらしいぜ。It's wonderful!」
「それは大変だ。えらいことになったぞ」
「Oh、何故だい?!」
「世界中が墓地だらけになる前に食い止めないと…!」


♯5:れいぞうこ
冷蔵庫を開けると死体が入っていた。
試しに、まずは指だけ千切って食べた。
ほんのり甘くて酸っぱい味わい。イチゴみたいだ。
あんまりにも美味しいから、そのまま手を全部食べちゃった。

次の日冷蔵庫を開けると、やっぱり死体が入っていた。
取り敢えず、今日は腕を食べた。
ピリッとスパイシー。駅前のコンビニで勝ったチキンの味に似てる。
手と味は全然違うけど、旨い。その日は腕だけで三食いけた。

また次の日冷蔵庫を開けると、やっぱり死体が入っていたけれど、
だれかが勝手につまみ食いしたのか、もう頭しか残っていなかった。
何だか残念に思いながらも目玉をスプーンでほじくって、直に口に運ぶ。
プリンの味。おいしかった。
ぼくは冷蔵庫に頭を戻すと、扉をそっと閉じた。

「みなかったことにしよう」

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