60円45銭

創作のネタとかいろいろ

小品集

深夜にTwitterで書き散らしたもののまとめ。
♯1:ゆめかがみ
「深夜2時に鏡を覗くと鏡の中の自分が手招きする。

手を伸ばしてみると引っ張って、鏡の世界へ連れて行ってくれる。

鏡の世界にはとても美しい景色が広がっているのだけれど、ほんとうは何にもない殺風景で寂しいところ。
鏡の中に引っ張られてきた女の子はそれに気づいて帰ろうとするのだけれど 鏡の中の女の子は、彼女もまた恐ろしい悪魔のような本当の姿になって、女の子を鏡の世界の谷底に突き落とすんだ。

女の子は真っ暗闇の谷底へ、もう二度と這い上がれないくらいふかい深い谷底へ墜ちていく。

声は絶叫、喉が血を吹き、心臓は張り裂け、落ちる、おちる。

そして女の子は目を覚ます。
カーテンの隙間から差し込むお日様の光、聞こえてくる小鳥の囀り、いつものお布団。

まだ心臓がドキドキいってる。怖い夢だった。

夢でよかった。女の子は胸を撫で下ろす。
お母さんの声がする。朝食のいい匂い。女の子は返事をしてベッドから起き上がる。

女の子は気づかない。部屋の造りが昨日までと真逆なのに気づかない。
ベッドの位置が、窓の位置が、全く正反対なのに気づかない。
みぎがひだりでひだりがみぎ。あべこべの世界に迷い込んでしまったことに気づかない。
洗面台の鏡に女の子が写る。だれもいない洗面所の、鏡の中の女の子は。

にやりと、不気味に微笑んで消えたのです。」 

──おしまい。

彼は言葉を踊らすように一つの物語を語り終えると、いつものように、にい、と笑った。


♯2:のろい
「きいたかい?」

「──きいたとも。
呪いをかけられていると思い込むことこそ呪いなのだから、彼は既に呪われたとも。
ありもしない呪いに踊らされて眠れない夜を震えながら過ごす囚人になったのさ。
ああ哀れ、お可哀想に。
僕の呪いが効きすぎたばっかりに!」

彼は芝居がかった口調で仰々しく答えた。


♯3:ひとさがし
「思うのだ。彼女は実のところ、もうとっくの昔に死んでしまったのではないだろうか。
この世のどこにも居やしないのに、探し続ける事に意味はあるのだろうか。
もう充分ではないか」

「意味など必要なものか。
どこにも居なくても、どこかには居るはずなのだ。
彼女は確かに在ったのだから」


♯4:はな
「実のところ私はお前達の事などこれっぽっちも愛していないのだよ。
寧ろ恨めしいと思っている。
ひ弱で手折られやすい茎のような馬鹿者共が」

「でも姉様、折れやすい茎が無ければ花は咲くことは出来ませんのよ」

「知っておるわ。だからこそ恨めしいのだ」


♯5:しゅうまつ
「多分、聡明な姉様は御存知のことと思われますけれど。
もうとっくの昔に気付いておられる事でしょうけれど。
敢えて言わせて頂きますと、この世には人間という生き物は一人も存在しないのですわ。
それどころか大凡知的生命体と呼べるものはほぼ死滅してしまいました。
ねえ、姉様、」
「言うな」


♯6:ぞうしょく
「ところで僕は思うんだよ。
人生というものはもしかしたら無限地獄なのかもしれない。
いや、僕の妄想に過ぎないけどね。
人間どもはひょっとしたら一つの人生を納得いくまで繰り返しているのかもしれない。
一つの時代に生まれては死に、また同じ時に生まれて死ぬ。
生まれ変わりは自分自身さ、他者になんかなれやしない。
ぜんぶ全部無かったことにして、ぜんぶ全部忘れて。
0(生)から100(死)まで繰り返し繰り返し。
まるで壊れたビデオみたいだ。
でも、繰り返しの人生は丸きり同じものばかりじゃなくて。
周回毎に過程や結末が微妙にズレる。
でなけりゃ説明がつかないんだ。
この大量に増えた、そ」
「それ以上いけない」

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